各種検査について 「何度もX線写真とらないといけないの?」
先日、当院を受診された小児患者の保護者の方から「他院耳鼻科では受診するたびに顔面X線写真の撮影が繰り返されるが本当に毎回必要なのか?」という、しごくごもっともな疑問、質問をいただきました。
当院ではルーチン作業のように各種検査を繰り返すようなことは不誠実だと考えています。
例えば、ご質問いただいた顔面X線の検査の主な目的は
①鼻腔、副鼻腔の腫瘍性病変、悪性病変の検索
②副鼻腔の炎症性病変の有無、およびその程度の評価
③顔面骨の骨折の有無の評価などがあげられると思います。
ご質問いただいたようなケースでは、小児であり腫瘍性病変、悪性病変の可能性は極めて低いことが予想されます。ですので目的①のために頻回のレントゲン撮影は不要と思われます。副鼻腔炎を繰り返し難治な症例では経過中にレントゲン撮影が望まれることもあるとは思いますが、毎度毎度繰り返す必要性は低いのではないでしょうか。 極々低線量ですが被ばくもするわけですし。
目的②のために顔面X線写真を毎度毎度撮影する必要があるか?と聞かれれば必要性は低いと考えます。
例えば、すこし咳がでるからと言って毎度毎度、胸部X線写真が必要か?ということと似た状況ではないでしょうか?
咳がでるからと言って内科医院で毎度毎度、 胸部X線写真とりませんよね。
「難治例であり目的①を考えなければならない時に撮影する」というのが一つの答えではないでしょうか。ただし、副鼻腔炎の程度の評価はしなくて良いという意味ではありません。何度も撮影を繰り返さなく良いでしょうという意味です。慢性化した副鼻腔炎では治療が数か月にわたることもあります。その際には、治療効果判定目的に数回のX線写真撮影が望ましい時もあります。
目的③の時、これは撮影した方がよいですよね。ただし、頻回の撮影は不要でしょう。
皆さんの質問の答えになりましたでしょうか?参考になれば幸いです。