インフルエンザ弱毒生ワクチン『フルミスト点鼻(3価ワクチン)』について

当院では、今季2024年は、「フルミスト点鼻液」利用のワクチン接種は、本邦初年度の導入であり慎重な判断が望まれると考えております。
メリットは各種サイトで挙げられておりますのでそれぞれ参照ください。
あえて、デメリットと考えらえる点を列挙してみます。

海外データではなく、第一三共株式会社が提供する本邦での市販直後調査による接種14日後までに発症した有害事象を列挙します。
2歳以上19歳未満の日本人では、5.9%に38℃以上の発熱、59.2%に鼻汁/鼻閉、19.7%に咽頭痛、27.8%に咳嗽などの有害事象が確認されています。(595接種例中)
2~6歳の日本人小児では、10.0%に38℃以上の発熱、51.0%に鼻汁/鼻閉、7.0%に咽頭痛、34.0%に咳嗽などの有害事象が確認されています。(100接種例中)
7~18歳の日本人小児では、3.0%に38℃以上の発熱、33.2%に鼻汁/鼻閉、10.1%に咽頭痛、12.4%に咳嗽などの有害事象が確認されています。(868接種例中)
従来の注射ワクチンには厚労省が推奨するインフルエンザA型の2種類のタイプ、B型の2種類のタイプ、計4種類のウイルスタイプに対応しているのに対して、フルミストはWHOが推奨するA型の2種類、B型の1種類、計3種類のウイルスタイプに対応しています。

また、弱毒化されているとは言え生ワクチンであり稀にワクチンによるインフルエンザ罹患もありえるものです。

また各種サイトでは、欧米でのデータをもとにメリットばかりが強調されている印象をうけました。
つきましては、当院では今期のフルミスト使用は、上記のデータをご理解いただいた上でのワクチン接種が望ましいと考え、あえてこのようなページを作成しました。
調査例数が少なく、上記データの信憑性についてはいろいろ意見があるところかと思いますが、新しいものに飛びつくわけにもと。

つまり、3.0~10.0%に38℃以上の発熱が見られるとの報告であり、これはかなり高率だなと感じました。
(37.5℃以上の発熱者数となっていない点も気になりますが、、、37.5℃以上で統計とると更に発熱者数が増えるのか?)
また、フルミストはA型の2種類、B型の1種類、計3種類のWHO推奨のウイルスタイプに対応となり、一部、厚労省推奨のものと別タイプとなります。
小児に発熱ありますと保護者の方のお仕事にも影響大かと想像します。
従前の注射によるワクチンであれば、みなさんにも既に副反応の程度もご存知かと思います。

判断いただく参考になれば幸いです。